最期はミラクルが重なりまして(1)

いよいよ母が亡くなったときのことを書く。もうそろそろだと家族親戚が集められたわけではない。本当にたまたま、みんなが集まっていた時に亡くなった。その日に亡くなるなんて誰しも思っていない時だった。

その時にいたそれぞれが少しでも時間がずれたら弟一人で送るところだった。みんな引き寄せられてしまったのか、母が「あたし逝くからね」と呼び寄せたのか。


9月22日(日) 今日は仕事の休みの日。

母が転院してから初めての仕事休み。今日は母のお見舞いに行く。だから午前中の早めに起きて、お風呂に入ってさっぱりしてから出発しようなんて思っていた。風呂の準備が終わって、さて入りましょうと湯船に浸かり「あああぁぁあぁ~~~」なんて声を出しながら温まった。私は暑い季節も湯船に浸からないと気がすまない。

そんなとき塾生の保護者からLINEが来る。

「先生に相談があるのですが、至急電話面談をお願いできませんか?」

そのご家庭はいろいろ事情があって、勉強面だけでなく生活面での相談にも乗っていた。すぐに電話をかけてお母さんの相談を聞く。相談内容は伏せておくが、さほど時間はかからない内容。しかし、お母さんは焦っていて、それをなだめ、話を聞き、落ち着いて納得してもらうのに時間がかかる。そんな中、弟からLINEが来た。

「今日何時頃いく?○○ちゃん(一番下の叔父)たちと○○(長女従姉妹)、○○(長男従兄弟)が来てくれるそうです」

そうだよね、今日は日曜だしみんな来るよな。叔父たちは昼過ぎに来るらしい。すでに叔母はお見舞い済ませたらしいが。このまま面談が続いて出かける時間が遅くなると、叔父たちと時間が重なってしまう。病室に入るのは3人までって決められているのだから。

私はようやく面談を終える。今から出るとちょうど叔父たちと時間が重なる。

電車移動のため最寄りの駅に行く。その時叔父から電話が来た。面会時間が重なりそうだと話すと、叔父たちは食事を済ませていくから予定より遅れるとのこと。じゃあ先にお見舞いに行くつもりで動く。病院に着いたところでふたたび叔父に確認電話をする約束をした。

病院の最寄りの駅は横浜市営地下鉄ブルーラインのセンター南。姪や甥が小さい頃は母と一緒によく遊びに来た。大きいトイザラスがあって、何を買うわけでもないのにそのフロアに居るだけで楽しい、大人である私も。といっても、なんやかんやで何かを買わされるわけだが。

そんな商業施設の並ぶ景色を眺めながら、あの時は母のお見舞いで来るところになるなんて想像もしてなかったなぁと思いつつ病院に向かう。大きな病院は受付から難しいが、この間お見舞いに来たから大丈夫。もう入り方はマスターした。

病院に向かいながら叔父に電話をした。するとご飯を食べるのにお店に入っている真っ最中だとのこと。聞いたらセンター南のどっかで食事をしようとしているらしい。日曜の昼じゃセンター南のご飯屋はどこも混んでいるだろうな。未だ並んでいるところで、食事の席につけていないそうだ。結果的にこれがラッキーな状況になった。叔父とお見舞いの時間がぶつからない。先に済ませておくよと叔父に伝え、私は先に母のお見舞いに行った。

事前に弟から病室が変わったと教えてもらっている。その部屋を探して、カーテンをシャッとして、母の病室に入った。

母はベットに寝ている。酸素を送るマスクが付けられている。目は開いていない。でもまぶたが常に動いている。目を開けようと頑張っているのかな?何やら度々ウ~というような声も聞こえる。話そうとしているのかな?

もう、元気な時の母の姿ではなかった。

耳は聞こえているはず。絶対聞こえているはずだ。私はいつもどおり話しかけた。「4日ぶりだね」「今日は○○と○○持ってきたよ(母がいつも使っていた小物)」「カバンに入れとくから」「ここに置いておくからね」・・・反応はない。いつもなら憎まれ口でも叩いてるところだな。「それはいらない」とか「余計なもの持ってきて」とか言われるはずだ。

しかし、私が黙ると病室には酸素が送られる音しか聞こえない。顔を近づけても反応はなく、目が少し動いて時々話したそうにするだけだった。なんかちょっと辛くなった。数日前に会話をした母が今こうなっている。順にお見舞いに来てくれる家族や親戚たちと話をしたいだろう。いままでなら、みんなが集まるところでは全エネルギーをしゃべることに使ってたのに。。。ちょっと言い過ぎ?

病室の外に出たら弟が来た。途中で会ったようで、本家の長男従兄弟の妻と息子二人が現れる。やっぱり日曜だから従兄弟の奥さんも子供たちも来てくれたんだ。一緒に病室には入れないので外で待つ。中では一生懸命話しかけてくれる声が聞こえた。

お見舞いを済ませて出てくる。久しぶりに会うので近況を聞いたりして、高校卒業、中学卒業してからどうだ?とそれぞれの今の話を聞いた。息子二人はバイトを頑張っているらしい。お父さんもお母さんも働きものだから、親を見て頑張っているんだな。従兄弟ファミリーは帰っていった。

さて、もうすぐ下の叔父たちファミリーが来るだろう。時間は既に昼の3時を過ぎている。


長くなったので、続きは(2)へ。

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