いまはどうなのか。当時私の通っていた小学校は、1,2年で同じクラス同じ担任、3,4年で同じクラス同じ担任、5,6年で同じクラス同じ担任だった。その区切りでクラスのメンバーも担任も、担任だけでなく同じ学年を担当する先生たちもガラっと変わった。
だから3,4年生の担当者たちが5,6年生の担当者にそのまま持ち上がらないはずなのに、私は5年生で憧れの森先生が担任のクラスに入れたのだ。
この詳しい話はこのあと書く。
私は3年4組、当時森先生は3年1組。私のクラスは新任の淳子先生で、薙刀なんかしてたから、超運動能力高い先生なんだけど、どうしてもそういう頃は“かっこいいお兄さん先生”に憧れたりする。森先生は学年主任だったのか、新任の淳子先生がクラスのイベントをすると必ず1組と合同で開催していた。
時折そんな様子だから、小学生あるあるで「森先生と淳子先生は、カップルカップルゥー」と私たち生徒はふざけて茶化していた。
そういうイベントで一緒になると生徒に混じって汗かいていたり、中休みにはクラスの生徒と外に出て本気でドッジボールをしてたり、そんな森先生のクラスに行きたいなーと何度も思っていた。淳子先生がいやってことじゃないんだけど、やっぱりかっこいいお兄さん先生を求めてしまうのだ。
しかし私には森先生のクラスには入れるチャンスはない。今違うクラスだし、5,6年生では先生メンバーガラっと変わるし。しかし!私に奇跡が起きる!!
なんと、生徒たちが茶化していた通りに森先生と淳子先生は結婚してしまったのだ。夫婦は同じ学校にいられない。後から聞いた話だと、二人はどうしてそうなったのか、淳子先生はなんで1年間だけでいなくなってしまうのか、という保護者や生徒からの声を自分が責任を持って受ける!という決意で、森先生の方が残ったらしい。
さらに!淳子先生がたった1年でおいていくことになった生徒を、一部でも自分が面倒を見なくてはという思いで、本当ならメンバーが代わる学年の先生なのに、森先生一人、そのまま持ち上がりで5,6年担当になってくれたのだ。そして私は、念願の「森級」の一員となるのである。
ほんとにほんとに、こんな奇跡ってあるんだなぁ。
5年生になり森先生担任のクラスになった私は家庭訪問の日を迎える。まだうちは理髪店をしていたから、先生は店先に入ってくる。しばらく祖父母とも話をしていたのだが、次もあるからと奥の部屋に通される。いろいろ話をして森先生は帰っていった。
その日の夜、母は古い白黒写真を引っ張り出して私に見せた。「あれ?森先生にそっくりじゃん」。それは母の女子校時代の体育の先生。メガネをかけてやや七三のサラサラ短髪。ネットの向こうでバレーボールをしている男の先生の写真だ。森先生にそっくり。女子高で数少ない男の先生で、唯一の若い先生だったもんだから、学校で一番人気だったそうだ。
母の初恋の人。。。その名も・・・
「この先生、森先生って言うんだよ」 えええええええええええ!!!!
母の初恋の相手も私の憧れの先生も、そっくりなフォルムのおんなじ名前の森先生だなんて。
その日の夜はなぜか母と「互いの森先生自慢」で過ごすことになったのだ。
実は後日談があって、森先生・淳子先生夫妻の長女がボーカルをやってて、一時期うちの弟とバンド活動をしたことがあるそうな。そこの娘さんだなんて知らなかったそうで、本当の偶然で組むことになったらしい。
人と人の縁て本当に不思議なものだ。


